強い中毒を引き起こす身近にある野菜を教える。
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「ジャガイモ」──芽を取り除くだけでは不十分
日本で最も中毒患者数が多い植物といえば、圧倒的に「ジャガイモ」です。意外という方もいるのではないでしょうか。
ジャガイモは、「ソラニン」(solanine)、「チャコニン」(chaconine)という成分を合成して、嘔吐、腹痛、下痢、めまいを起こさせ、追い払おうと警戒します。特に収穫されたとき、つまり地表に出たとたん、ソラニンなどの合成をせっせと開始します。
ジャガイモが“警戒”を始めた様子は、ちょっと見ただけではわかりません。「新芽の部分が危険」ということはよく知られるところですが、その周辺も大変危険です。「皮がミドリ色に変色してきたら危険」とも言われますが、ジャガイモの品種によっては、外側からだけだと判断できない場合もあるので、輪切りにして、見てみましょう。中のほうまで明るいミドリ色になっていることもあり、こちらも危険です。加熱調理をしても腹痛や下痢などの症状を引き起こすこともありますので、ご注意ください。
火を通せば安全とは限りません。「ソラニン」や「チャコニン」は、茹でたり多少焼いたりしただけでは分解されないのです。
たとえば、2006年には東京都の小学校で75名の児童と教員2名が食中毒を起こしました。校内で栽培したものを調理員が皮つきの「茹でジャガイモ」にしたところ、腹痛、吐き気、喉の痛みなどを訴えました。幸い、すべての児童が軽症で済みました。2009年には奈良県の小学校で、35名が中毒を起こしましたが、このケースでは炒めるなどして食べています。
これらの事例では重症にはなりませんでしたが、ジャガイモには、昏睡や幻覚症状を引き起こすほど強烈な神経毒性があるので、十分な注意が必要です。
では、ジャカイモの中毒を避けるには、どうしたらよいのでしょうか。ポイントは、ジャガイモを懐柔し、この有毒成分をできるだけ作らせないようにすることです。
(1)栽培しているとき、ジャガイモが土から顔を出していたら、土をしっかり被せる。
(2)芽の部分やミドリ色になっている皮は、周辺を含めしっかり取り除く。
(3)明らかに小さなイモは、決して食べないようにする。
(4)保管する場合は、太陽や電灯の光に当てないようにする。
講演などで、私がよく注意するのは、「小さなイモは食用にしないでください」という点です。ソラニンなどが多く含まれる傾向があるのです。可愛らしいし、もったいないと思われる方が多く「どうしても使いたい」というような場合は「その小さなイモを種イモにして、来年も育ててあげてください」とお伝えしています。
また、ソラニンなどは水によく溶ける性質があります。少しばかり日が経ったジャガイモを調理するときは、皮を厚めに切って、よく水にさらします。あるいは十分に茹でてから、茹で汁を捨てればより安心です。
「インゲンマメ」──加熱が不十分だと毒性が5倍に!
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引用元: ・強い中毒を引き起こす身近にある野菜 ジャガイモ インゲン豆に要注意